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どうでもいいことではあるのだが、歳も山場にさしかかると、アンチエイジングなるものも意識するようになり、ついついドラックストアのメンズケアコーナーなぞで化粧水とやらを選んでみたりする。(まあ接客業だしと言い聞かせたりしつつ)
先だってもそんな場所をふらついていたら、地元のやんちゃそうな中学生グループがドヤドヤやってきた。
ああ脱色剤とかハードジェルとか必要なんだろうと推測。
しかし、彼らは私目のいる男性化粧水コーナーを熱心に眺め出しているではないか。
え?ビジュアル系なのか?と面食らう訳だが、彼らはいたって普通に、「このブランドが一番浸透率いいんだぜ」とか、「これで潤してから乳液塗れば、ニキビが出来ないんだってよ」だの、
こちらとは隔世の感を思わせる会話をし出す。
ごめん、おじさんは30年前は手洗い石鹸でしか顔洗ったことなかったから、全然ツイテケナイ。
でもいい。
月日は流れ、移ろうものなのだから。
この世の終わりみたいな化粧水、美容液、クレーワックス、どこぞやのデオドラントスプレー、、、、、
須らく塗りたくれ。
もう「終焉」みたいなものなのだから。
だけど。
そんでもって、肌をツルツルに整えて、全てを磨き上げた後には、その後には。
この汚染された我々の大地に、ペンキに彩られたプラカードを突き立て、全力疾走してみるがいい。
勿論、アクティブスピーカー片手に。
本物の言葉をストリーミングしたモバイルデータ携えて。
息の根止まるまで。
美しくも何ともない町、ネオン、枯れきった雑木林、愛の欠片もないような家々の間。
徒党を組んで安心し切った、ぬかるんだ大人たちの行進とは全く違った形で。
そして、そのプラカードも砕け散って、旧市街の果てで力尽きた時、
初めて色が変わるだろう、
あなたたちの目玉に刻印された、
恐らくは希望も何もないスモッグまみれの世界の4D、フィギュア、音程。
最低最悪最厄なこの世が、
蘇りそうになる一瞬だ。