05.30.
2015.05.31 Sunday 01:05
遠くの方に、子供の姿が見える。
次第次第に、その姿は大きくなる。
極東の真昼は去った。
木々も鳥たちも犬たちもその佇まいを夕刻の姿へと変えていく。
午後5時。
その一瞬。
哀しみと美が交互に重なり合う日常の一瞬。
それは日々、気持ちを揺さぶり、震わせる。
私は、それを「希望」と呼ぼう。
あえて安っぽく。
あえてステロタイプな意思を込めて。
非日常さ。過激さ。薄っぺらい奉仕精神と繋がり。
そんなことばかりを声高に述べたて、その実、たやすく人を裏切り、たやすく人を見捨てる者たち。
そんな者たちへの対抗のための「希望」。
極東の真昼は去ったのだ。
『
夕ぐれが来た。
僕は、
生まれ、婚姻し、子を産み、育て、老いたる無数のひとたちを畏れよう。
僕がいちばん畏敬するひとたちだ。
どうかあのひとたちの貧しい食卓、金銭や生活や嫉とやのあらそひ。呑気な息子の鼻歌。そんな夕ぐれに幸いがあるように。
』
吉本初期ノートだ。