「かえりの合図、待ってた食卓、そこ、きっと」
マームとジプシーというカンパニーは、解体と実験的演出をバックボーンとしてはいるが、そのテーマの根底には「感傷性」というのがあって、2020年代を目前にした今、そういうセンチメンタリズムがどう機能していくのか、このカンパニーはその事と真剣かつ滑稽に格闘しているように見える。
そして、その格闘の仕方ががむしゃらで、ほんとに胸に詰まるものだから、再びまたこのセリフの渦に包まれてみたくなるのだ、なぁ。
しかし、マームにしろチェルフィッチュにしろ、ライブを重ねるにつれ、青柳いづみという空恐ろしい女優さんの存在はどんどんどんどん大きくなっていく。
最も正常で的確で滑舌の良い演技をこなしているのに、最も狂ってるオーラを纏う。
今回、出演されていなかっただけに、取り分けその存在感が増してしまうという凄み。
開演前、青柳さんと少し話せる機会があった。人と話すの、全然緊張しないけど、自分の感性がほぐされつつもこんなに緊張もしてしまうというのは初めて。
大谷能生さんとか川上未映子さんだとかがコラボしたくなるのも当然か。
まあ、とにかく。
どこかの屋台の匂いのぷんぷんする雑踏にいたって、今の私には、かえりの合図がちゃんとあって、更地にされて造成された環状道路、あるいはダムの底に沈んだ村、そこから一歩、足を踏み出す事さえ出来るんだ、という現実に密かに絶望してしまう訳です、私は。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「KUSA.のリキッドアイス珈琲'14」。
一時的にご予約完売中です。
来週から再び発売しますので、
何卒ご贔屓の程。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
尚、KUSA.喫茶の6月後半営業日程は、6/30(月)、7/1(火)をお休みとさせて頂きます。大変ご迷惑おかけ致しますが、どうぞご了承下さいませ。