原色の朝、一杯の熱い、フルーツのような珈琲を飲む。
そのために、必要な言葉たちの徒然。

07.31. 雑録.
久しぶりに過ごしやすい海風吹いた長生村。

仕込みもスムーズに終え、夕方から窓を開け放ちながら読書。


うとうとしつつ、幾冊かの優れた本を読み流していたら、至極当たり前の事に辿り着いた。


人生のこと。


人が幸せに生きるのに、最低限、必要な柱は3つある。

まずは、『健康』だ。

五体満足というよりも、命ある、ということ。


2つ目は、ある種のお金であって、お金というのは、基本的に額に汗した分の対価だ。基本的に。

つまり、資産家や、何らかの形で自動的にお金が入ってくる人以外には、

人生を最低限、支えるだけの『仕事』が必要になる。



そして、もう一つ、これが一番大切なのかもしれないが、それは、自分が愛し、

自分を愛してくれる、かけがえのない誰かのこと。

固有名詞を持つあなたのことを承認してくれ、逆境に陥ったとき、

どうしようもなくなったとき、死にいくとき、

『心から支えてくれる存在』を得ているかどうかだ。


そのためには、例え、恋人や配偶者に出会い、仲の良い家族がいても、

また圧倒的な親友がいたとしても、目に見えない絶対的な努力が必要で、

その努力とは、相手への誠意と情を丹念に積み重ねていく行為のことだ。

それができなければ、10年か、20年後か、いずれ将来、一人寂しく、死んでいくしかない。






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さて、そういう話は置いておき、昨日も、珈琲豆出荷を終えました。

明日1日(土)より、5日(水)まで、千葉県習志野市本大久保のギャラリー「林檎の木」さんにて、

KUSA.でも使っている石川若彦さんの陶器と、PRATO PINOさんの硝子展が行われます。

イベントに合わせ、KUSA.のオリジナル珈琲豆とリキッドアイス珈琲も、少しばかり。

どうぞ、お楽しみに!



KUSA. 喫茶は、通常通りの営業です。





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07.27. 雑録.
他県にもれず、房総も酷暑。

カンナの赤い花、バラの小さな赤い一輪、日に日に赤色から黒光りするブラックベリーの実...。

散乱する、赤。



今週は、「kibi cafe」さんの珈琲豆の出荷を無事終えた。

7月の「kibi cafe」は、今週29日(水)に行われます。

平塚市のアンティークショップ「menu」さんにて!

我々も行きたいな、でも、ここから平塚は少々遠い。

神奈川方面の方は、夏の暑さからひととき解放されに、

是非、足を延ばしてみて下さい!








それにしても、最近は、都心に出る機会もだいぶ減った。

時間的な余裕がないのもあるし、行ったとしても、子供がいて慌ただしく、

のんびり珈琲屋で読書、なんてスケジュールが取れないからというのもある。

でも、一番の理由は、東京の街自体が魅力を失くしているからかもしれない。


あの歌舞伎町や錦糸町からは、アジア的サイケデリックな猥雑さが消され、

秋葉原は負の面影を無くし、六本木からはいかがわしさが失せ、

吉原〜入谷のエロスの匂いもすっかりしぼみ、根津湯島千駄木の文豪の「かほり」も

観光地化してしまった。

そのように、個人的には感じてしまう。


歳をとったんだよ、と言われればそれまでだが、クリーンで人畜無害で無味乾燥な都市、

のっぺりした顔のホストやキャバクラ嬢が客引きしてるだけの夜の繁華街、というのは、

シャッター通りの地方都市と同じくらいにうんざりするよ。

湿気混じりの布団にくるまって、稲垣足穂でも読んでいた方がマシ。







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お客さんと野球のこととか話したので.
その昔、阪急ブレーブスという球団には、福本豊、箕田、ウィリアムスという
12球団随一の鉄壁の守備陣がいて、一部の野球少年にとっては、
王や山本といったホームランヒッター以上に憧れの的だった。




「鉄壁の守備陣」。

単調にも思えるシートノックを丹念に積み上げ、血を吐くまで走り込んだ成果にしか、

与えられない、崇高な響き。


防御は全てのスポーツの要であり、また最大の攻撃力でもある。

野球をやっていた人には、きっと分かる。



そして、今、イチローやら田口やらが、海外へと渡り、

国内のプロ野球には鉄壁の守備陣とまで呼べるような布陣は消えた。

野球の守備というものは、投手が投げる一球一球、カウント毎に、

布陣が微妙に、また大きく変わり、全野手が全く同じ立ち位置の組み合わせというものは

その試合において、存在しないほど。




金井美恵子さんは、日本野球の人気が無くなった最大の戦犯は、

TVの演出方法だと断言している。

日本のTVは、投手対バッターという構図のみにコマ割り、スポットを当てて、

そういう守備も含めた野球の奥深さ、醍醐味を蚊帳の外にしてしまったのだ、と。

もちろん、日本野球の低迷は、球団の運営方法や、個々の選手の実力にもよるのだろうが、

この意見には一理ある。


これだけを以て、全部が「昔は良かった」というつもりは全くないのだが、

こと野球に限っては、昔の、いかがわしさも含めたオーラが消滅してしまったのは間違いない。

日本一、ガラが悪いと言われていた広島市民球場(そこには猥雑な熱気がほとばしっていた!)、

限りなく天然芝に近い人工芝が独特の穏やかなムードを醸していた神宮球場、

都心のど真ん中にあるおかげで、心地良い夜風に覆われるナイターの後楽園球場。

どの球場にも、今、そんな面影は微塵もない。



そうして、現在は2009年夏。

空調を効かせた部屋で、i-BookのYouTubeに接続し(ネットで野球なんて!)、

アメリカ、メジャーリーグの試合を仕事メールと並行して、チマチマ覗いてる。

こんな野球観戦の仕方にトキメキはないし、全く嘘っぱちで、

これなら母校の高校野球を同窓生と応援しに行った方がマシだし、

奪われてしまっても、ちっとも惜しくはないのだ。







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07.19. 雑録.
 ・絶対行こうと決めていた、「corb」さんでやっていた、大島龍さんの展覧会に行く機会を逃して凹む。



・夏場は、珈琲豆の販売量が大きく変動するので、毎朝、かなり緻密に計算して焙煎しているのだが、

 今日のようにあっと言う間に売り切れてしまう日もあり、もちろん嬉しくはあるが、

 『「KUSA.ブレンド」わざわざ買いにきたのに...』と遠くからの女の子に咎められるように言われ、凹む。



・10年ぶりに聞いた IT'S IMMATERIALの「LIFE'S HARD AND THEN YOU DIE」。

 今の自分には昔のように心動かず、少し凹む。



・喫茶店には、氷が何より大切なこの時期、製氷機が狂い始め、メーカーに問い合わせると、

 修理代金は家計直撃の金額で、激しく動揺す。




 何だ、これじゃ、凹んでばかりじゃないか!

 既にアラフォー真っただ中の人生、もう下り坂の記憶なんて、パスだぜ!








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07.15. 雑録.

関東地方、猛暑。

かぼちゃの花たち、火傷しそうにくたびれており、

夕刻の少しだけクールダウンする風を待ちわびてる。





 






私達も朝のうちから、焙煎の釜とパンの高温オーブンの熱が絡まり合い、

のぼせきった頭が、途方に暮れそう。

営業中はエアコン効かせるので、ちょっと落ち着けるが、

兵庫の「kaopan」さんなんて、エアコンつけても30度越えの中、

働いているというのだから、頑張らなくちゃいけない。



今夏は、大好きな日光でも行って、ハンバーグ食べて、甘めの羊羹買って、

気分転換してこよう。

そう、決めた。

私達の汗も涙も、枯れた頃です。








来週、22日(水)は、お店、お休みになります。


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07.12. 雑録.
よく言われることだが、「悪いときには悪いことが重なるものだ。」

最近、丁度、ナチュリネのOさんと村上春樹の話をしていたので、

あえて村上小説から拝借すれば、

「大切な女の子とのデートにすれ違ってしまう。外に出ると、突然雨が降り始める。

 そして、虫歯がキリキリ痛み始める。

 帰り道、車のクラッチがカタカタと不吉な音を立て始める。」

といった感じ。



水曜の私達がそうだった。

翌日から定休日、自営業にとって今日は大切な〆日。

そんな日に限って、子供が高熱を出して、保育園から呼び出しがかかる。

なのに、突然、車のブレーキが破損、全く効かなくなり、自走不能。。

慌てて行きつけの修理工場へ運んでもらったものの、色々あってお手上げだと追い返される。

なんやかやで、どうしても店を数時間、閉めなくてはならなくなって、

閉めた途端、何年ぶりに大事な店友達がはるばる訪れてくれて。。。




さて、全てが一応ひと段落して、夜、高ぶった気持ちを鎮めるように

子供と静かに昔のアニメを見ていた。

その懐かしい画面では、母親が病気で亡くなり、

主人公の男の子は流行のスペイン風邪に冒され寝込み、

軌道に乗り始めていた父親の牧場は台風で壊滅してしまう。

.....散々なことが起こっていた。

男の子は父に、「悪いときには悪い事が重なるな、神様も意地悪だ」と悲しそうにつぶやく。

だが父は、息子に、静かな声で諭すのだ。

『それは違うぞ、神は今、私達の力を試しているんだよ。

 こういうときにこそ、人は強くならなければいけないんだ。』


ああ。疲れ果て、いじけ気味でいた自分は、何と、このノスタルジックなアニメにも

敗けている。

完敗である。






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07.07. 雑録.

関東地方、梅雨の谷間のちょい晴れ間。

30度越えの気温で、焙煎〜開店準備までで、既に汗ダク。。。

それでも、今日のオーダーはほとんどホット珈琲で、

これは珈琲屋冥利に尽きると言うもの。



関東でこの暑さなのだから、関西地方は、さぞかし蒸し暑いのだろう。。

昔、毎夏のように、大阪、京都、福岡に出張に行っていて、

どこも大好きな場所ではあるものの、

その湿気含みの暑さにはとことん参ったものだった。




そうそう、兵庫県は芦屋市に、「kaopan」さんという、

それそれは小さくて素敵なパン屋さんがあって、先々週から、

そちらでも、KUSA.の自家焙煎珈琲豆を買えることになりました。

物静かなパン職人のオーナーさんがセレクトして下さいました。

関西の方の珈琲好きは、珈琲屋を始めてからというもの、ひしひしと肌で感じてます。

関西方面の方、こだわり抜いた天然酵母のパンと一緒に、

是非KUSA.のブティック珈琲も味わって下さいね。










最近、毎晩のように子供にねだられる絵本の名作「やこうれっしゃ」(福音館書店)。

文章は一切なく、細部に至る絵だけで、上野駅発金沢行きの夜行列車の風情を描いているので、

親のストーリーテーリング能力が試されますが、私や、私より上の世代の方にとっては、

昔の上野駅構内の風景、寝台車でそれぞれ過ごす乗客たちの様相に、

胸がキュンとしてしまうでしょう。



小学生の頃、妹と二人、夜行列車で九州へ向かっているとき、

隣りの席のおじさんが、朝、食堂車へ誘ってくれて、

ご飯を食べさせてくれたことを想い出しました。

子供心に、食堂車での食事というのは、大変ワクワクしたものです。

ベタな言い方だけど、ある一面ではいい時代だったんですね。

今だったら、隣のおじさんに声をかけられても、付いていっちゃダメということになりそうですから。




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07.05. 雑録.
共働きで、小さな子供を持つ親御さんなら、よく分かってくれるだろうが、

毎朝毎朝、子供を保育園に送り、仕事がようやく終わったと思ったら、もう迎えに行く時間で、

それから騒ぐ子供とスーパーや商店街で買い出しをして

帰途につかなくてはならない日々の連続というのは、かなりしんどいものだ。

まして、飲食業ともなれば、帰ってからまた仕込みが待つ。




それでも、子供は可愛い。

陽がだいぶ延びた今、どうしてもザリガニ釣りに行きたいというリクエストに応じて、

保育園帰りに、ザリガニスポットのドブ池へ少しだけ寄り道。

落ちてる木の枝を竿代わりにして、こちらまで夢中になってしまって、

手を離してしまったのがいけなかった。

案の定、3歳の息子は足を滑らし、頭ごとヘドロ混じりのドブ池にどっぷり。

こちらもそんなときに限ってお気に入りのジーンズなんて履いてしまっており、

でも仕方なく膝まで浸かって子供を救い出し、そのまま車のシートにも乗せることもできず、

途方に暮れ、500m先の公園まで、とぼとぼ歩き、子供をすっ裸にして、水道で洗い、

ハンカチで拭い、また、車まで戻る羽目になる。


こんなときは、日々の疲れも相まって、ああ絶望的な気分。

でも、私は知っている。

5人の子供を抱え、毎晩、会社の上司に頭を下げ、保育園へ迎えへに行く母親を。

小さな赤ちゃんをパートの後、寝かしつけてから、また深夜、

飲食店へ働きに出なくてはならない若き母親を。

そして、そんなママさんたちは、大抵、皆、泣きながら笑っている。

笑いでもしてなくちゃやってられないし、そんな忙しい子供に限って、

心底から親の笑顔を求めているから。








ゆっくり移り変わる季節の、夕方の微風は、嘘みたいに気持ち良い初夏の風で、

アジアの市街地のスコール後みたいにすがすがしく、

私は、このいっとき、全てを笑い飛ばして、この子をしっかと抱きしめてやりたいと思う。





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07.02. 雑録.
もう既に7月に入ってしまい、もう上半期も過ぎた。

珈琲屋の半年もあっという間だ。


1月は年明けの営業で立て込み、

2月、3月は、バレンタインギフトやホワイトーデーで追われる。

4月は豆の入荷の大きく切り替わる時期で、日々、テスト焙煎三昧だ。

5月は母の日、6月は父の日、せわしない。

先日、ようやくリキッド珈琲も工場から届き、建物の補修作業もひと段落して、

今日は、少し骨休みした。



そんな訳でもなかろうが、音楽がゆっくり体に浸透し始める。

今は、世武裕子と、フォークの三村京子の楽曲の一部に、

時代の痕跡を残すような希望すら感じる。

それで、何年か前に、宇多田ヒカルさんが新聞のインタビューに答えていた

言葉を反芻してみた。


『しかし、何が起こるか分からない世界なら、

 すべての確信は希望であり、

 また希望こそが、最大の確信であると思うのです。』



時代は、空転しているのではなく、回転しているのだ。




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