原色の朝、一杯の熱い、フルーツのような珈琲を飲む。
そのために、必要な言葉たちの徒然。

世相08.
・房総地方、大晦日、快晴。
 今年も無事営業終了致しました。
 大晦日まで、沢山の人においで頂き、
 心より感謝申し上げます。
 KUSA. 喫茶も、はや4年目。
 今年も全営業日、毎日、釜を回し続け、
 パンオーブンもフル稼働致しました。
 また、明日、元旦から営業です。
 どうぞ宜しくお願い致します。

 


・2008年。木星が試練の位置に停滞していた年。
 
 黙々とドリップを繰り返しながら、一年の様々な
 出来事が頭をよぎる。
 そして、やっぱり、2008年という年は、いずれ
 もっと先に振り返ったとき、どことなく暗い年だったと
 記憶されることになるんだろうな、と思ってしまう。
 ゼロサム経済が覆っていたし、国内でも胸がえぐられる
 ようなむごたらしい事件の数々、パレスチナ、イラク、
 アフガニスタン、チェチェン、グルジア、コンゴ、
 ウイグル(数え上げたらキリがない)..の情勢を見聞きせよ。
 各地の荒れた模様には、胸が痛みっぱなしだし、
 きっと多くの人を暗澹たる気持ちにさせたはず。
 でも、それでも、今日、早朝に昇った一年最後の朝陽は、
 ものすごく、感傷抜きで、圧倒的にきれいで、
 それを眺めていてこんな風に思った。
 無力な自分にできることといったら、今年(に限らぬが)
 地球上で起こった様々な出来事、美しいことももちろん、
 そして、顔を背けたくなるようなむごたらしい光景は
 さらにもっと、死ぬまで忘れずにいること。
 はっきり頭に焼き付けておくこと。
 それだけ。


asayake






 


・私達は、ほんとに身一つで切り盛りしているし、
 私の仲間や近しい人達は皆、いつ家が無くなり、
 路上生活を送る可能性だってある、という危機意識と覚悟を
 ずっと前から頭の片隅に置きながら、労働に励んでいる。
 今年が暗かったというのは、マスコミに煽られてるだけだと
 もし言う人がいれば、多分、その人はかなり恵まれた境遇に
 生まれ育った人だ。
 そんなんだから、スローに生きるというのも、もちろん
 悪くないことだが、がむしゃらにもがいてる人の方が
 やっぱり好きだ。




・年末年始、離れて預けることになってしまった2歳の息子が
 一人残される今日、寂しそうにつぶやいた。
 「ママ、パパ、お仕事しに行ってもいいよ。」
 泣きべそのくせに、涙見せずにそう言った、小さな我が子を
 想いながら、焙煎する手が少し震えてしまって。









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Enter the space.
私達は、どうかすると知らず知らずのうち、狂気の世界に
ずっぽり浸かっていて、ある日、ふと扉を開け放ち、
街へ出て、交差点に立ちつくしたとき、
突然目を覚ますかのように気づくのだ。


ベビーカーを押す楽しげな若い夫婦、杖を付く手を休め、
ひと呼吸している老婆、窓越しにのんびり時間の流れている
珈琲屋、大豆の匂いが充満している豆腐店、絶え間なく人が
動きまわっている魚屋や洋品店...。
今まで意識もしなかったこれらの風景が、実は、
この目に映るあらゆる人々のすさまじい努力と偶然と
生存力でもって、奇跡的に成り立っていることを。


そして、光。
冬が終わり、春にさしかかる頃の淡い光だ。
そんな陽射しに照らされた光景の隅々を、
そのとき、心より愛おしく感じてしまうだろう。
その瞬間を、しっかり記憶に刻んでおくことのできる者、
それこそが誠実さの証なのだ。



koukei













なんてことを、何気なく借りたドラマのワンシーンを見ながら
ぼんやり考えていた。







年末年始(12/31〜1/4)の営業時間は、11時〜17時です。


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ゆれる.
我が家のクリスマス前後。


深煎りの豆の香りが充満した煙突、強風、ホームパーティー、
子供の発熱。
古いレコード盤のスタンゲッツの音色、大人たちの会話、
冷えた赤ワインと、プレゼント交換。



週明け、横浜。
様々な粒子を解体して、圧縮して、散りばめて、再構築したら
こうなります、といった神奈川の湾岸道路沿いの風景。
スモッグにまみれてはいるが、この景色を嫌いにはなれない。
70年代的、ブルース的。
そして、強風。



「アンジェリーナ」のホワイトケーキ。



喜び、ひとかけら、ぽつねんと。










26日(金)はお休みです。
年末年始は、営業致します。


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Love it.
今日は、透き通るような気持ち良い祝日で、
気持ち良いお客さんたちと、
気持ち良いバイブレーションが
流れてるいるような一日。

嬉しいこと多々。




さて、明日は、クリスマスイブ。
大人になっても少し浮き浮きするもの。
でも、誰かが言っていましたが、明日は
よその国の神の誕生日(だっけ?)。
ひるがえって前日の本日は、
うちの国の天皇の誕生日。
イブのために、自分とこの天皇誕生日に、
ワインを買ったり、ケーキやプレゼントを選んだり.....
というのも不思議な感はあります。

が、ま、何はともあれ、一生に一度の'08X'mas.なのは確か。
例え一人でも、大切な人と一緒でも、
静かでおぼろげで、もう二度と取り返すことはできない、
かけがえのないひとときを過ごすこと。
それを祝い合いましょう。








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12.21. 雑記.
突然、ふいに、大きな感謝の念に駆られる。
それは、誰にというものより、すっぽり宇宙に包まれている
感じで、そう、「喜びでいっぱいの球体に」
今、立っていられる偶然に対して。



窓から射す限りなく弱い光、お客さんのざわめき、
だだをこねる赤子たち、珈琲ミルから立ちこめる粉と灯油の
入り混じった匂い、樹と花と草とか。
無口なあの人が、ふと垣間見せる心。



D.クープランドは問いかける。
「あなたにとって、どういう一瞬が、この惑星で生きていた
 ことの定義になるか。『お持ち帰り』は何かだ。」
もちろん、『お持ち帰り』というのは、我々がこの世界を
去るときの大切な記憶のことだ。
そして、それは、何ということだ! 私にとっては、
ひょっとしたら、今、この瞬間のことかもしれないのだ。









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12.19. 雑記.
師走の送り業務に追われる、12月末。
何十袋も珈琲豆を詰めながら、でも、一人一人お客さんの
「感じ」をやっぱり思い出しながら。
もう、この仕事も4年目を迎えたので、通販メールの
やり取りだけでも、その人の雰囲気が分かるってものだ。

mame













毎年、同じこと書いてるような気がするが、
今年ももうあとわずか。
小さな店だけど、この一年、やるだけのことはやったし、
自分なりのベストは尽くした。
午後、木枯らし吹いて、久しぶりのあの人が、
「ここに、この店があるからなんだ」って言ってくれたので、
ああもう、それで十分だ。






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12.16. 雑記.
・朝、目が覚めて、庭へ出ると、毎年この時期に
 赤い実をつける千両だか南天だかの真っ赤な実が、
 陽に照らされている。
 珈琲カップ片手に煙草を吸って、庭の隅の方の、
 赤いキラキラを見ていると、それは奇跡のようでもあり。



・冬の昼前の日だまりの中で、うたた寝しながら、
 歌を口ずさむ。
「紅い真っ紅なはまなすが、海を見てます。
 泣いています。」
『網走番外地』だ。
 そして、90年代にかせきさいだぁが、全く同じフレーズを
 ラップに乗せていた。



・『ダージリン急行』には、人と人との関わりの中で産まれる
 可笑しみとペーソスが刻まれていて、スローなモーションの
 一瞬の美しいシーンが点在する。
 流れるのは、THE KINKS 「THIS TIME TOMORROW」。
 もうごちゃごちゃ言うこと何も無い。









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月と皮膚.
最近は、悲しくて沈むことが多いと言えば多いし、
楽しいだろうと聞かれれば、そんな気もするし。
冬枯れた風景のせいだろうか。



そんな気分を反映しているような、12月の音楽セレクトです。
新旧問わず。

・nico muhly 『Mothertongue』 
 メレデスモンクばりのハイトーンヴォイスに
 エフェクトかけて、MIXするとこんな風。
 それがたまらなく感動的で、最近の現代音楽最高峰だ。

・渋谷毅 『solo』 
 お客さん、Kクンの今年度ベストだとか。美しい名曲を
 ソリッドで優しいピアノが緊張感をもって支える。
 心と頭、潤す一枚。

・矢野顕子 『長月神無月』 
 言わずと知れた70年代名盤の一枚。
 色褪せることないし、声とピアノのセッションを一人で
 やってのける天才的楽曲に、夜中、ふいに勇気が訪れる。

・Shava Gutchies 『スロースターター』 
 懐かしき、バイト時代の仲間のバンド。
 初期オリジナルラブ+ソウル+POP。
 私的隠れたファンクポップの凄腕盤。

・『statics』 (CCI recordings) 
 エレクトロニカ極北のアーティストたち。
 パルス音とノイズが重なって、今にも灯り消えそうで、
 それはまるで雪に包まれたアンカレッジの、
 工場労働者たちに微かな希望が舞い降りた感じがして。

ロック色がやや薄くて、突き抜けられない感もあるものの、
でも、気分が陰りがちの方には、捨て曲無しのおすすめの
アルバム達です。





TUKI









12月。
焙煎とシュトーレンの業務に追われる日々。

今夜、土埃舞う冬風が、やけに寒くて、やがて、
オレンジ色の月も雲隠れしそうで。






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ART ? and SHOP? comments(0) trackbacks(0)
夕刻,下馬,渋谷.
雨上がりの休日。
仕込みの合間を縫って、西日に包まれた、下馬の小さくて
暖かい商店街を一人歩く。
鶏肉屋さんの隣に、知人のAさんがオープンした「coffee caraway」さんは、ひっそり佇んでおり、
扉を開くと、質素で飾り気のない、オーナーのお人柄を
そのまま反映させたような自家焙煎店。
裸電球と古びた陶器の傘。静かな時計。無造作に塗られた壁。
作り込んだお店も、もちろん素敵だけど、
こんな豆売り店もいいなぁとちょっと思った。
どこか、中近東の小国の裏路地で長年営んでいる豆屋さんみたいで。

「ありがとう。」





その足で、打って変わって、喧噪まみれの渋谷。
古い友人と会合。
皆、気兼ねなく、学生時代のまんまで、それでも
額に汗して働き、裸一貫で勝負している訳で、
表情や仕草にそんな月日の風情がおもむろに刻まれており。
ガード外れの雑居ビルの中にある、隠れたMOD's BARで、
エールをがぶ飲み。
日々の行き詰まりなんかが頭をかすめそうになったが、
最高の気持ち良さで流れるThe Bamboos「tighten up」の
タイトなリズムが、突然に、おぼろげな記憶から、
著名な脳科学者の渾身の言葉を掘り起こしてくれる。

『つきつめろ、そして、つきぬけよ。』








It's ok!



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愛を、祝い合いましょう.
早朝から仕込み前倒し、開店に間に合わうように、
子供のはじめてのお遊戯会へ。
なのに、うちの息子ときたら、人ごみに圧倒されたか、
ただ一人、ぼんやり立ちすくむばかりで、
一向に踊る気配見せず、ひどく落胆する。
それでもやはり、退場する彼の残念そうで無念な
後ろ姿を見つめていると、今日も園へ残して店へ
向かうことを省みたりして、胸が詰まってしまい、
無性に愛おしく思えてきて、無様だった姿さえ、
かけがえないものに見えてしまうのだ。



もちろん、自営業を営みながら、二人子育てしている私たち、
痛いほど身に沁みてもいる。
育児のきつさと、厳しさを。
365日、慢性的な睡眠不足とストレス、
自分の時間の絶望的な無さがジャブのように、
心身を疲弊させていく辛さを。
ママさんたちの育児ノイローゼが、もう若い頃のように
他人事には感じられない。


でも、それだからこそ、あるお客さんの言っていた、
「いらいらして、どうしても怒鳴りたくなったときは、
 ぎゅっと抱きしめてあげる。
 そして、産まれてきてほんとにありがとう、と、
 一日一回だけ、語りかけてやるんです」
という言葉が、井戸のように深く、胸に突き刺さってくるのだ。




先月観た、舞台タイトルじゃないけど、
「 幸せ最高ありがとうマジで!」


だね。







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